ニクラス・ルーマンの索引カード箱とコンピューター

発表者
山﨑裕太
日時:
2020年12月13日
場所:
オンライン

発表要旨:

本発表は、索引カード箱(Zettelkasten)がコンピューターの前身であるという仮説を立て、これをニクラス・ルーマンの思想から検証することを目的とする。

 

私の主張するテーゼは、ルーマンのシステム論と索引カード箱に、バイナリーコードやファイル管理機能といったコンピューターシステム的な考え方が認められるということである。索引カード箱とコンピューターのファイル管理機能との類似はすでにGfrereisとStrittmatterらによって示唆されている。ルーマンはおよそ9万枚もの索引カードを所有し、それらは現在ビーレフェルト大学Niklas Luhmann-Archivにおいてデジタル化が進められている。その一部はインターネット上で閲覧可能である。同プロジェクトにおいて索引カード箱の詳細と、索引カード箱に対するルーマンの考えが包括的にまとめられている。しかしながら、ルーマンのシステム論に含まれる、オートポイエーシスといったコンピューターに関連する考えについては言及されていない。これを、ヴィレム・フルッサーやフリードリヒ・キットラーなどのコンピューター論と比較して論じたい。