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- 発表者
- 山本 菜月
- 日時:
- 2018年11月24日
- 場所:
- お茶の水女子大学
- 発表要旨:
- 近年のドイツの出生率回復には、多産とされる移民の増加や家族政策の方針転換だけでなく、ドイツにおける家族の意味が変化したことが、大きな役割を果たしていると考えられる。国内外での先行研究においては、出生力に影響するものとして年齢や、収入、教育レベルなどの社会経済的要因および近代以降の価値観の変容などが挙げられてきた。しかし、個人の意識と出生力、特に子どもを持つことの実現についてはどのような関係を持っているのかについてはまだ議論が始まったばかりである(Fasang, Huinink, Pollmann-Schult 2016)。そこで本発表では、2012年に実施された「ドイツの家族像」調査個票を用いて、20~30代の男女(N=5000)における家族像が出生意欲にどのように影響しているかを、統計的手法を基に検討する。
予備的な分析では、伝統的価値観を持つ層は出生意欲が高く、子どもを持つことへの経済的負担感を持つ層は出生意欲が低くなることが明らかになった。また、出生意欲が高いとされる移民背景を持つ者については、男女で結果が異なっていた。報告時は、上記以外にも複数の変数を用いて分析し、ドイツにおける若い世代の出生意欲の規定要因を明らかにする。